今日の映画 – 消えた声が、その名を呼ぶ(The Cut)

映画の製作国はドイツ・フランス・イタリア・ロシア・ポーランド・カナダ・トルコ・ヨルダン、合計8カ国による合作。

The Cut

映画の最初の舞台はオスマン帝国時代のトルコで、主人公はトルコでは少数民族のアルメニア人。イスラム国のトルコでキリスト教徒のアルメニア人は迫害を受けていて、突然成人男子は強制労働へ徴用され、残された家族は離散という目にあう。その後、虐殺をかろうじて逃れた主人公は声帯を切られて声を失いながら生き残りの家族を探し続けるという話。

宗教に根ざした残虐行為が行われたことは、それがオスマン・トルコの時代であったとしてもトルコの政府や国民にとっては不名誉なことで敢えて触れたくないことではないかと思う。映画ではそういったことをはっきりと批判するよりも、困っている主人公を助けるトルコ人や奴隷のように売られたアルメニア人の子どもを買い戻して育てた修道院の人たちなど人の善の部分を描くことでうまく纏めている。監督はファティ・アキンというハンブルグ生まれのドイツ人だが、この人もトルコ移民の二世なのでこういう映画を作ることができたのかもしれない。

映画の後半は主人公が生き残った娘を探して最後はアメリカまで旅していくというスケールの大きな話。声が出ず、言葉も通じない国へ単身苦労を重ねながら努力を続けるというのは感動的ではあるが、話がうますぎるのではないかという疑問もつきまとう。あと、探される方の娘も、決して楽な身の上では無いはずなのに、父親が消息を辿ってやってきたときには既に別のところへ移ってしまっているというのも、当時にしては活動的すぎるのちゃうかという微妙な違和感を持ってしまう。

とはいえ、そういう小さな引っ掛かりを割り引いても良く出来た映画と思う。


Trailer


2016年に観た映画

番号 邦題 原題 監督 評価
4 消えた声が、その名を呼ぶ The Cut Fatih Akin 4.0
3 完全なるチェックメイト Pawn Sacrifice Edward Zwick 4.0
2 ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies Steven Spielberg 4.5
1 スター・ウォーズ/フォースの覚醒 The Force Awakens J.J. Abrams 4.8
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