今日の映画 – スイス・アーミー・マン(Swiss Army Man)

スイス・アーミー・マンのポスター

映画レビュー

映画の9割は登場人物がハンク(ポール・ダノ)とメニー(ダニエル・ラドクリフ)の2人だけ。しかも無人島に一人流されて自殺しようとしている男となぜか十徳ナイフのようにいろんな機能を持っている死体という組み合わせなので、かなりシュール。

予告編を事前に見ていたので、シチュエーションは想定すみ。さらに、ポール・ダノがダニエル・ラドクリフを水上スクーターのように使って海上を疾走するシーンも予告編にあったので、無人島で2人で四苦八苦した後、最後に海に出て脱出するという流れを想像していた。ところが、この予想はあっさりと裏切られる。2人が出会って間もなく、件の水上スクーターで脱出してしまう。それから森の中で2人の変な共同生活が延々と続くのは想定外。

このあたりの絵の作り方は幻想的な感じもあって悪くない。ところが死体の口から飲み水出るとか、雑誌を見て欲情したりとか、品がないというか生理的にちょっとなぁと思わせる。このあたりから、観る側としては、このきてれつな十得死体をどう結末に持っていくのかが関心事になってくる。

ラストをどう解釈するかは人によって違うかもしれないが、ハンクに精神障害があって全ては彼の頭の中の話で、メニーはただの死体と考えるのが妥当かなと思う。ラストのラストに捻りがあるが、それも含めてハンクの妄想ということにしておく。

ポール・ダノは、「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」での熱演が光るが、ちょっと変な人の役に向いていそう。

ダニエル・ラドクリフはハリー・ポッターのイメージが強すぎて苦労しているのではないかと思うが、誰も演りたがらないようなこの死体の役に挑戦したことは評価する。少なくとも、ハリー・ポッターだけでないことを実証して見せた。

予告編

2017年に観た映画

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