今日の映画 – サウスポー（Southpaw）

「ロッキー」、「チャンプ」、「レイジング・ブル」、「ザ・ハリケーン」など何時の時代にも作られ続けてきたボクシング物。

映画は栄光から転落そして復活というオーセンティックなボクシング物の造りで新味はない。2時間に観衆が喜びそうなことを詰め込んだために、かえって映画としての厚みが無くなってしまっている。その割には、ラストの勝負の結末はスカッとKOにして気持ち良い娯楽映画に徹すれば良いものを、判定にして相手方プロモーターが不正に有利な判定にもちこむのではといらん心配をさせるのはどうかなと思う。

そもそも、王座を失ってから新しいトレーナについて防御のトレーニングを始めるまで防御の技術もなしにチャンピオンになっていたというところから不自然やけど。そもそも、タイトルがサウスポーというのに、主人公は右利きで、大一番に備えた「秘密兵器」がサウスポースタイルへのスイッチというだけで映画の大局には関係ないのにとも思う。

とはいえ、この映画はそういう細かなところに突っ込むのではなく、カメレオン俳優ジェイク・ギレンホールの変身ぶりを観る映画。ブロークバック・マウンテンで初めて見て以来、まったくタイプの違う役を演じ分けてきて、とうとう今度は体づくりをしてボクサーを不自然さを感じさせること無く演っている。スタントを使っていないというから、この成り切り様はさすがというところ。

それ以外の役者は可愛らしい子役を含めてそれぞれの役割を果たしている。主題歌はエミネムの作。噂によると、当初この映画はエミネム主演で「8 Mile」の続編のようなものが企画されていたのが、エミネムの予定が合わずに変わりの主役探しをする中でボクシング物に変わったというから、ボクシング部分の練り込みがイマイチというのもそういう経緯のせいかもしれない。

Trailer

2016年に観た映画