映画レビュー
「15時17分、パリ行き」と同様、この映画も93分の短めの映画。原作は1971年に映画化されていて、そのリメイクであるが、前作「白い肌の異常な夜」の主演がクリント・イーストウッドだった。前作を見ていないが、前作は女性ばかりの南部の寄宿学園で看護されるケガをした北軍兵士(イーストウッド)の視点で描かれていたのに対し、本作では逆に女性からの視点で映画化されている。
監督は女優時代はパッとしなかったが、「ロスト・イン・トランスレーション」で脚本と監督の才能を証明してみせたソフィア・コッポラ。室内のシーンがほとんどだが、光の当て方が上手いというか映像が綺麗。50歳を超えているはずのニコール・キッドマンも綺麗に撮ってもらっている。
北軍兵士役のコリン・ファレルは何作か見ているがあまり印象に残っていない俳優。この配役はまずまずというところか。アイルランド移民で北軍兵士になったという設定なのでアイルランド訛もおかしくない。
ニコール・キッドマン、キルステン・ダンスト、エル・ファニングの配役も演技も良いし、映画自体はソフィア・コッポラの手腕が効いているのに、ストーリーがいまいちしっくりこないのが残念。南北戦争の3年目で、適齢期の男性が戦争に行っていない時期に、女ばかりの寄宿舎生活という非日常な環境に男が一人転がり込んできたことで普通ではないことが起こるというのは分からんでもない。しかし、キリスト教的な博愛の精神で受け入れたはずなのに、最後は正反対のことをしてしまうのがどうもなぁ。神様はどないなってん?
さらに、コリン・ファレス演じるマクバニーの行動はもっと納得いかない。そもそも、南軍に突き出されたら命は無かったのに、匿ってもらって治療してもらえたことだけで十分ラッキー。とはいえ、寄宿舎から放り出されたら敵地の中で安全の保証は全くないにも関わらず、キルステン・ダンスト、エル・ファニングにちょっかい出して、ニコール・キッドマンも誘惑するような行動は生き残るために得策ではないことは分かりそうなものなのに。
この映画からの教訓は、ラッキーだからといってつけあがってはいけないということと、マッシュルームには気をつけろということか。
予告編
2018年に観た映画
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