映画レビュー
ジェシカ・チャスティンが敏腕ロビイストとして銃擁護派団体を的に回し、銃規制法案を議会で成立させるために奮闘するという話。アメリカではロビイスト業界があって大手から中小までのロビイスト会社があるということにびっくりするが、日本では水面下で行われていることを堂々とやっていると思えば納得はできる。
ジェシカ・チャスティン演じるエリザベス・スローンは優秀だけど、法的にも倫理的にも一線を越えてしまっているような役柄。睡眠障害で薬を飲み続けて、食事はいつも同じ中華レストランというちょっと危ない人。話の流れは、対立勢力との争いで一旦は優勢になるが、予期せぬ事件で一転窮地に陥るが、万策尽きたかのような最後の瞬間に逆転の一撃で溜飲が下がるという王道の流れ。銃擁護団体とその裏にいる武器産業を悪玉にしているので、当事者たちはこの映画を観て気分を害しているとしても、映画を観る大部分の人は爽快な気分になるというのは上手い作り。
娯楽映画として脚本はよくできているが、よくよく考えてみるとインドネシアの法案絡みで法律違反をした証拠をわざと残しておく必要があったのかは疑問。相手に有利な手札を与えて油断させるということかもしれないが、そこまでしなくても最後の切り札があれば楽々勝てたように思えるけど。
そういう突っ込みたいところはあるが、それはさておき、ジェシカ・チャスティン以外はすべて脇役で彼女の演技への依存度が高い映画といえる。そして、ジェシカ・チャスティンの病的な演技は見ている側が思わず引いてしまうくらいなので成功しているのではないだろうか。
あと、この日本語タイトルのセンスの悪さ、なんとかならんかね。
予告編
2017年に観た映画
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