今日の映画 – マダムのおかしな晩餐会(Madame)

Madame

映画レビュー

カテゴリーが何かというとコメディ。ただ、素直に笑えない。パリの上流階級の家庭でのパーティがひょんな事で参加者が13名になり、縁起が悪いと考えたマダムが嫌がるメイドを無理やり14人目の客に成りすまさせるところが問題の発端。お酒を控えて、できるだけ喋らないようにと釘をさされていたのに、上等のお酒で抑制が効かなくなったメイドが場違いの下ネタ満載のジョークを言うところまでは良かった。

いっそ、そのままドタバタ喜劇で終わってくれれば良かったのに、メイドを高貴な血筋の末裔と誤解したおっさんに迫られ、それに応じてしまうあたりから嫌な予感がしてくる。ストーリーの組み立てはよく出来ていて、誤解があらたな誤解を招いたりする典型的なコメディの手順を踏んでいる。が、観ていて、「これはハッピーエンドは難しいな」という感覚が高まるばかり。

アメリカ人にこういう映画を作らせたら、最後にどんでん返しを組み込むとかして力ずくでハッピーエンドにしてしまうだろうが、この映画はフランス映画。最後は観客を放り出すような終わり方は得意中の得意。別に、ハッピーエンドでなくても良いのだが、この映画が見せているのは一般庶民と上流階級とは別世界という階級社会の現実。その現実を壊すとか越えるとかでなく、最後はそこに支配されてしまうというのが悲しいところ。

上流階級の体面を気にして取り造っているが、実態は薄っぺらなものでしかないことの風刺としては悪くないが。映画の主題がスッと入ってこないというのが実感。やっぱりコメディはコメディらしく素直に笑えるのが良い。

キャスティングを見るとマダム役のトニ・コレットが主役に見えるが、実質的な主役はメイド役のロッシ・デ・パルマ。しかし、トニ・コレットをロッシ・デ・パルマが勝手に着るというのは無理がある、体型違うし。

予告編

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