映画レビュー
久しぶりのドイツ映画。新型コロナウイルスのせいで、映画を観ること自体が久しぶりやねんけど。主人公の新米弁護士ライネン(エリアス・ムバレク)はトルコ系という移民を多く受け入れているドイツらしい設定。映画の前半は、主人公が初仕事として国選弁護人を引き受けた殺人事件の被害者が少年時代の恩人だったという偶然にしては都合良すぎる偶然から、黙秘して協力する気ゼロの被告人コリーニ(フランコ・ネロ)や過去に恋仲だった恩人の孫娘ヨハナ(アレクサンドラ・マリア・ララ)との再会などなど。普通、そういう偶然があったら弁護士は利益相反の可能性があるかもしれんという理由だけで弁護人を辞めるべきやと思うけど、
後半はライネンがコリーニの出身地のイタリアまで過去の調査に出かけて証人を連れてきたりして法廷サスペンスの色合いが濃くなる。ドイツの裁判制度はよう分からんけど、「公訴参加代理人」というのがあって、この裁判では被害者の代理なのか裁判に出てきて検察みたいなことをやるのだが、そのマッティンガーという人がライネンの恩師で高名な弁護士。法廷ではライネンが優位に立つが、マッティンガーに一瞬でひっくり返される。ところが、マッティンガーの過去が再逆転に繋がっていくというのはストーリーとしては面白いが、現実性はどうかなと思う。
法廷モノに、ドイツが引きずるナチスの暗い過去、移民を受け入れた現在のドイツなどを絡めて娯楽映画として面白くできている。一方、トルコ系のコリーニと恋仲だったこともあるのに、人種偏見を捨てきれていないヨハナ。法律関係者として良心があるのか無いのかよう分からんようなマッティンガーなどの人物描写がいまひとつかなという印象。ピザ屋のバイトの女性が一人異色で良かった。
予告編