東京から大阪に引っ越してきて1年が過ぎた。新築のマンションへの引っ越しだったので、デスクや小物を含めていろいろ自作したが、一番の大作がこれ。
引越し前は2つの和箪笥では収まりきらずに着物収納用のダンボール箱などにしまっておいた着物が多数。大半はかみさんの物だが、僕のも少々。これを引越し後どう収納するかが課題だった。
そこで利用しようとしたのが洋室にあるウォークイン・クローゼット。ウォークインといっても、扉を開けると奥行き1m足らずの空間があって、入ると左右に高さ170cmのところに棚があり、その棚の下にハンガーを掛けるパイプが取り付けられている構造。この棚の間口が約79cmあるので、長さ74cmくらいの着物を収める「たとう紙」を入れる棚を作れそう。棚の奥行きも約50cmあるので十分。
実際のクローゼットはこんな感じ。これは入り口から右側の棚を見たところ。左側にも同じような棚がある。ハンガー用のパイプが通っているが、両端の円形の受け金具を取り付けているネジを外せば簡単に取り外せる。
ざっくりとした構想
15cm間隔で10段の棚を作れば、着物はなんとか収納できそう。棚の数が多い分材料代も掛かってくるので、材料は、
- 棚板 – MDF
- 柱と棚板を受ける部分 – SPF材
を使うことにして、いずれも塗装はなし。棚板にはシナベニアのような合板にしようかとも考えたが、20枚用意するとそれなりのコストになること、強度を保つために板厚を厚くすると、収納スペースが減ってしまうのでMDFでやってみることにした。
構造については、
- 約80cmの棚板を左右両端だけで支えるだけでは板が持たないので、左右+正面奥の3箇所で支える構造にする。
- 棚板は固定せず、左右と奥の3箇所に設けた「受け」用のレールに乗せるだけにする。
- 棚板を支える支柱とレールはビスケットジョイントで組み立てる。
- 支柱の壁面への固定は、壁の裏側に木材がある箇所でネジ止めする。
支柱の制作
こんな形の支柱を合計6個作る。棚の奥行きに合わせたサイズの両端用(4個)、やや幅の拾い奥用(2個)。写真は両端用の材料を加工途中で並べたところ。材料は1×4。
壁の床に近い部分には巾木があるので、縦部分の板は巾木をよけるために厚みをカットしなければならない。これを12本加工しなければならないし、鋸で正確にカットするのは大変。なのでトリマーで削ることにする。
トリマーを使うにしても、12回寸法合わせをして固定して加工することになるので、端材をつかって簡単な治具を作った。
この治具に板を突っ込んで固定すれば、あとはトリマーを当てるだけで同じ寸法で加工できる。
奥の角に当たる部分は、奥の巾木の部分もカットしなければならないので、ここは鋸でカットする。
棚板の高さを揃えるために、支柱ようの6枚の板を揃えて、ジョイントカッターでビスケット用の溝を掘っていく。
横方向に渡す板の接合面にも溝をカット。
ビスケットと接着剤で門型に組む。
支柱の壁への取り付け
組み上げた支柱を壁に取り付ける。壁紙の下の石膏ボードには荷重物を支える強度がないので、石膏ボードを支えている木材の場所を探す必要がある。壁紙を傷めないような細い針を刺して場所を探るが、これがけっこう面倒。
簡単なのは、強力な磁石(ネオジウム磁石)を壁紙に沿わせて動かしていくと、裏に使われている釘と引き合うポイントが何箇所か見つかる。その位置から上下に木材が入っているはずなので、その延長線上に固定したい場所を決め、針を刺して確認するのが良い。
支柱を所定の場所に置き、探しておいた固定場所にコーススレッドネジで固定する。
あらかじめカットしておいたので、巾木には干渉していない。
レールの制作と取り付け
レールの部分の材料は、1×4の板の幅を両側から25mmで縦にカットしてもらった棒を、必要な長さに鋸で切って使用した。1×4を使うほうが、あらかじめカットされている材料よりも安いし、角が丸めてあるのでサンドペーパーを掛ける手間が要らない。ホームセンターによっては、制度が出ないからと断られるかもしれないが、数ミリ違っても問題ない。これは自分では切れない。
レールの接合面に溝を掘っていく。単純作業の繰り返し。
ビスケットを溝に仮に差し込んだところ。
あとは接着剤を付けて差し込んでいくだけ。
取り付けたレール。ほんとうは圧着するのだが、ここでは無理なので当て木をして叩き込んでよしとする。ビスケットを使うのは、接着強度を持たせるためだが、着物を支えるくらいなのでたいしたことはない。それよりも、ビスケットを使うことで、レールの取り付け高さを気にせずにはめ込んでいくだけでレベルが出るのは楽。
レールの取り付け完了。
棚板の取り付け
棚板は9mm厚のMDFを指定寸法にカットしてもらったのを通販で購入した。
この棚板をレールの上に差し込んでいく。固定しないので置くだけ。
棚板取り付け完了。
反対側も同様に作って完成。
着物収納後
たとう紙に収めた着物を重ねて収納できるのは箪笥と同じ。棚の良いところは積み上げた着物を横から見れるので、探すもの取り出すのも箪笥よりはるかに簡単。
MDFの棚板は1年つかっていると重さでたるんでくるが強度には問題なさそう。気になるなら、板の上下を入れ替えればよい。