掛時計の自作を思い立つ
5月に今のうちに引っ越して、家具なども揃ってきたのでリビングに新しい掛時計が欲しくなってきた。天然木を使ったものをネットで探してみたものの、思ったようなものはないし、ええなと思ったものは結構な値段がする。
そこで思いついたのが使っていないカッティングボード。ダイニングテーブルを買い替えたときにおまけでもらったもので、へんな形してるけどウォールナットの無垢板。これを時計にできないものかと思ってネットを検索してみるとつくり方の解説サイトがいくつもヒットする。ほなやってみようという流れ。
掛時計の材料
板
今回は手持ちのカッティングボードを使う。板厚は20mmだった。取っ手の部分を除いた四角い部分は正方形ではないが、およそ20cm四方の大きさ。前述のとおり、既存のカッティングボードを使う。文字を入れるかどうか迷ったが、無垢のウォールナット無垢板の質感を活かしたかったのと、文字が無くても時刻の読み取りには支障がないと考えて無しでいくことにする。
ムーブメントと針
クオーツのムーブメントの種類は、秒針の動き方とシャフトの長さがポイント。
秒針の動き方は、1秒毎に刻んで動いていく「ステップ式」と、秒針が滑らかに動く「スイープ式」がある。見た目はどちらでも構わないが、ステップ式は秒を刻むごとに音がするので静かなスイープ式にすることにした。
シャフトの長さは、メーカーが異なっても「ショートシャフト」、「ミドルシャフト」、「ロングシャフト」の3種類のいずれかに分類されるみたい。ムーブメントは文字盤の裏側に取り付けられて、文字盤の中央を貫通する穴に通したシャフトの先に針を付けるので、文字盤の厚みによってシャフトの長さを選ぶことになる。シャフトの長さと文字盤の厚みとの関係は以下のとおり。
- ショートシャフト – 3mm以下
- ミドルシャフト – 3~9mm程度
- ロングシャフト – 10~19mm程度
今回使う文字盤は、20mmの厚みがあるのでロングシャフトを使っても微妙に長さが足りない。またムーブメントの厚みが15mm前後あるので単純に文字盤の裏側に付けるだけではこの厚み分が飛び出して収まりが悪い。そこで20mmの板厚を削ってムーブメントを埋め込むこととしてミドルシャフトを選ぶことにする。「スイープ式」+「ロングシャフト」という組み合わせはなぜか供給が少なく、選択肢が限られるがミドルシャフトにすることで選択肢が広がることもメリット。
最後に針は、ムーブメントとセットになっているものと、針だけで売られているものとがある。別々に購入してうまく取り付かなかったら面倒なので、文字盤の大きさと釣り合う長さの針がセットされているものを探すこととした。また、文字盤はやや濃い色なので、針の色は明るい色のものを選ぶ。
Amazonでは、ムーブメントと針のセットは数百円~1,500円程度でいろいろ売られている。今回の条件、「スイープ式」+「ミドルシャフト」+「明るい色の針」を満たすものは限られてくる。100円ショップで時計が売られているくらいなのでムーブメントは既に低価格化していて、No Nameの最低価格品と日本メーカーの品でも価格差はたいしたことないので、セイコークロックのムーブメントを使ったセットを購入した。
掛け時計の制作
購入したムーブメントのキットに含まれるのは写真のとおり。これに簡単な説明書が付く。
ムーブメントの裏(針と反対側)はこんな感じ。単3電池のホルダーと時刻合わせのダイヤルがある程度。文字盤への固定は貫通したシャフトを反対側からナットで止める方式なので取り付け穴などは無い。本体部分のサイズは56mm角で角のRは5mm、厚みは15mm。
これを埋め込むための穴を掘るのはトリマーを使う。モデルはリョービのMTR-42F。
56mm角の穴を掘るために、即席のガイドを作る。MTR-42Fのベースプレートのサイズは90mm角なので、5Rのコーナーのために10mmのビットを使って、57mm角の穴を掘るためにはガイドの内法は、57+90-10=137mm。クリアランスを0.5mmとして1mm加えて138mmの内法となるよう1×4の切れ端を使って写真のように組んだ。とりあえず留まっていればよいので固定はステープラー。
このガイドを文字盤の裏側にセンターと角度を合わせてくらんぷで固定する。
あとはトリマーで削るだけ。まずは深さ3mmで掘る。
ビットを3mmずつ繰り出して深さ12mmまで掘る。板厚は20mmなので薄いところでも8mm残っている。
シャフトの直径が8mmなのでセンターにドリルで9mmの穴を開ける。これで木工は終了。
表から見たところ。
ムーブメントに吊り下げようのフックを取り付けてはめ込むと、サイズはぴったり。
ムーブメントの飛び出しは、計画通り3mm。
正面側からナットで固定し、3本の針を取り付けて完成。
壁に掛けるとこんな感じ。
作ってみた感想
トリマーを使った木工が一番の手間だったが機械さえあれば難易度は高くない。ムーブメントのキットは安価だし、文字盤もいろいろな種類が売られているので意外と簡単に時計は作れることが分かった。
今回は、しっかりした無垢板を使ったが、文字盤はプラスチックの板や厚紙でもOK。市販の時計に気に入ったものがなければ自作するのがおすすめ。