HP Stream 11の現状
このノートPCは2015年にUSから個人輸入したもの。購入後にWindows 10にアップデートして主に旅行の際に携帯するPCとして使っていた。重さは1.2kgちょっとなので、軽くはないが、旅行先のホテルで使う分には許容範囲。
問題点
元々エントリー製品なのでパフォーマンスうんぬんを言う機械ではないし、作りもプラスチック然としているが、それを逆手に取った青いポップでプラスチックのおもちゃっぽいデザインは悪くない。日本語キーボードではなく、英語キーボードというのも個人的な好み。メールの読み書きやWebブラウジングくらいの軽い仕事なら十分と割り切って使っていた。
ところが、Windows 10はアップデートたびにサイズが大きくなり、ストレージ(eMMC 32GB)の残りを圧迫するようになってきた。そして、ついにWindowsをアップデートするためには復旧パーティションの削除だけでは足りず、アプリを全てアンインストールして、不要なファイルを徹底的に削除してやっと足りるという状況になってしまった。これは時間が掛かるし、途中でトラブルが起こったり、かなりストレスになる。
Windowsのアップデートはその後改良されて少ないストレージスペースでも更新できるようになったようだが、結局Windowsに追加するのはChromeだけということになってしまった。
いわばChrome専用のWindowsノートPCになってしまったが、やっと8GBの空きという状況。それでChromeが快適ならばよいが、非力なプロセッサ(Celeron N2840 @2.14GHz)に2GBメモリーではサクサク動くには程遠い。
それでもノートPC を手放せない訳
大抵のことはスマホかタブレットで事足りてしまうのでノートPCの出番は少なくなった。実際、自宅にいるときはデスクトップPCを使うし、外出にノートPCを持って出ることもまずない。
だが、旅行に行く際は、やっぱりノートPCを持っていく。その理由は、
- 長文のメールやブログを書くときには物理キーボードがあった方が楽で効率が良い。
- 観光情報や鉄道、バスなどの交通機関情報を調べるには画面が広くてマルチウィンドウの方が捗る。
- 写真データをバックアップしておきたい。
写真に関しては、10日ほどの旅行で数千枚の写真を撮ることもしばしば。一眼レフ用のSDカードを何枚も持っていくが足りなくなる。SundiskのポータブルSSDにコピーしていくことにしているが、SDカードからポータブルSSDへコピーするためにはPCが必要という訳。
Chromebookで十分ではないか?
突き詰めれば、必要なものは、以下の4つ。
- キーボード、できればマウス
- スマホよりも広い画面
- ブラウザ(Chrome)
- USB間でのファイルのコピー機能
使用頻度が低いことを考えれば、Stream 11をそのまま使っても構わない。だが、そのためにWindowsが動く環境を維持していくことが少々面倒。考えてみれば、Windows はChromeを起動することとファイルをコピーすることしかやっていない。そしたら、Chromebookでええやんという話。
Windows Note PCにChrome OSを入れるには
オープンソースの「Chromium」はGoogle の「Chrome」からいくつかの機能を覗いたもので、ブラウザだけでなくChromiumベースのOSも流通している。ただ、このブログを書いている時点では、定期的にアップデートされているのは、「CloudReady」のみと思われる。CloudReadyは企業や教育機関向けにはサポート付きの有償バージョンが販売されているが、個人向けはサポートが無い代わりに無償で使用できる。現時点ではこれが唯一の現実的な選択肢。
まずはコケたときの対処を準備
OSを入れ替えるときには常に失敗するリスクがある。失敗して元に戻ればよいが、最悪なのは失敗して元に戻せず、いずれのOSでも立ち上がらなくなってしまうこと。
HP Stream 11はCloudReadyで使えているという情報もあるが、正式な動作確認機種リストには載っていないので自分でリスクを取ってやるしかない。
いざという時に、元の状態に戻すには、
- USBメモリにシステムを含めた修復ドライブを作っておく(8〜16GBのUSBメモリが必要)
- ハードドライブの全体のイメージを保存しておく(イメージを保存できるサイズの外部ディスクが必要)
の両方をやっておくのが吉。ハマった時には(1)でPCを起動してシステムを復旧し、(2)でアプリケーションやデータまでも元の状態へ戻せる。いずれもWindows 10の機能を使って行える。やり方は検索するといくつもヒットするのでここでは省略。
と書いておきながら、やったのは(1)だけ。今のStream 11は殆ど素のままなので(1)で戻せば、あとは必要なドライバとChromeを入れるだけなので(2)を省略した。
CloudReadyの導入
CloudReadyのInstallerを作成
必要なものは8GB か16GB のUSBメモリー。CloudReadyのサイトからUSB Makerをダウンロードして起動する。USBメモリーのドライブを指定すれば、勝手にイメージをダウンロードしてInstallerを作ってくれる。
USBメモリーから起動してインストール
Installerが出来たら、このUSBメモリーから起動すれば良い。が、起動時に特定のファンクションキー(メーカー依存、機種依存あり)を連打すればセットアップメニューに入れた時代は終わりつつある。Windows 10の比較的新しいPCでは、「設定」→「更新とセキュリティ」→「復旧」→「PCの起動をカスタマイズ」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「UEFIファームウェアの設定」→ (再起動)→ (機種依存の画面から起動ドライブの指定をたどりUSBメモリを指定する)、という手順の方が確実。
ドライブへのインストールの前に動作をチェック
USBメモリーから起動し、画面の指示にしたがってネットワークの設定、Googleアカウントへのログインなどを行うとUSBメモリだけでのCloudReadyがセットアップされる。
この状態ではPCのストレージに変更を加えていないので、元のWindows環境へ戻すことが可能。この状態でCloudReadyの基本的な動作を確認できるがメモリーがかなりきつい状態で動いているので動作が遅くて不安定。今回、チェックしたのは、
- タッチパッドが使えるかどうか?
- USBマウスが使えるかどうか?
- 内蔵SDカードリーダが使えるかどうか?
- SundiskのポータブルSSDが使えるかどうか?
- スリープから復帰できるかどうか?
- 英語キーボードで日本語入力が問題なく行えるか?
結果はほぼOK。タッチパッドの右クリックが何故か使えないのが痛いが、USBマウスを使えば問題ないので致命的ではない。
ドライブへCloudReadyをインストール
インストールは簡単。画面右下をクリックするとポップアップするメニューから「Install OS」を選ぶだけ。
いくつかの確認のあとインストールが始まる。ここからは後へは戻れない。約20分後にインストールが完了し、自動的にシャットダウンされる。
再起動すると歓迎メッセージが表示され、WiFiの設定やGoogleアカウントへのログインなどをもう一度行う。
あとは「設定」からキーボードとGoogle日本語入力を選ぶ。さらに、必要であればAdobe Flashなどをインストールしてセットアップ完了。Google関連のパスワードなどは自動的に引き継がれるので、他のFacebookやOne Driveなどのパスワード認証を済ませるだけで元のChromeの環境ができるので簡単。
この状態でドライブの空き具合を見てみると、約19GBとWindows 10と比べて2倍以上になった。
パフォーマンス
起動時間
Windows 10では、電源OFFの状態で電源ボタンを押してロック画面(パスワードの入力が表示される前の画面)が表示されるまでの時間が約45秒だった。
CloudReadyでは、同じく電源OFFの状態で電源ボタンを押してからパスワード入力の画面が表示されるまでの時間が約30秒。
CloudReadyの方が速いが、思ったほどWindows 10との違いはない。メーカー物のChromebookには及ばないというのが現実だが、起動時の10秒、20秒は実用上はあまり影響がないというのが実感。
ブラウザの快適度
ブラウザの速度を何で測るかについては色々な意見があるかもしれないが、古典的なところで、Octaneのベンチマークを使ってみた。
Windows 10 では、
CloudReadyでは、
トータルスコアでは、CloudReadyのChromeががWindows 10のChromeを約17%上回る結果になった。
まだ新しい環境を使い込んでいないが、Windowsで使っていたときよりも体感的には17%以上速くて快適。おそらくCloudReadyの方がメモリーに余裕があるので、Chromeのタブを増やしてもWindowsのChromeほど動作が緩慢にならないためだと思う。
Windows環境での仕事のほとんどはブラウザ上で行っているのが現状なので、環境改善は大きい。自宅では、用事があればデスクトップPCのある部屋へ行って仕事をしているが、軽い作業ならこのCloudReadyのマシンを使ってみようかと思えるくらい良い。このブログもCloudReadyから書いている。とりあえず、しばらく使ってみよう。