エジプト旅行 Day 3

エジプト旅行の手配:なぜツアーを選んだか

今まで40か国以上を旅行してきたが、基本は宿と移動手段を自分で予約する自由旅行がメイン。交通インフラが整っておらず使いにくい国では車をハイヤーを手配したり、現地ツアーを利用することもあるが、大半の旅程をツアーにすることは稀。

しかし今回のエジプト旅行に関しては、少し戦略を変えた。 日本~エジプト間の航空券は自己手配だが、「カイロ~ルクソール~アスワン~アブシンベル~カイロ」の移動とナイル川クルーズを含む観光部分は、日本で手配した現地発着ツアーを利用し、その後のカイロ市内観光だけ再び自己手配に戻すというハイブリッド方式にした。

理由はシンプル。個別に手配するには情報が不十分で手間がかかりそうだったこと、そして準備日数が足りなかったから。

また、ガイドについても普段は頼まないのだが、今回は「日本語ガイド」をお願いした。 歴史遺産が多いエジプトではガイドブックの情報だけでは限界がある。英語ガイドでも良いかと考えたが、もし訛りの強い英語で説明が聞き取れなかったら元も子もない。 結果として、この選択は正解だった。移動のストレスがなく、効率的に観光地を回れ、変な緊張感もなくリラックスして遺跡と向き合うことができた。

ギザの三大ピラミッドへ

というこで、今日からエジプト観光開始。まずは空港直結のホテルをチェックアウトして、迎えの車で出発。

カイロのダウンタウンを通ってギザへと向かう。このエリアはどこかヨーロッパの街並みを連想させる景色。

ギザのピラミッドの入場口へ到着。ここでチケットを購入。

展示コーナーには「太陽の船」の模型があった。かつてここにあった実物は、最近オープンしたばかりの「大エジプト博物館」に移送されている。

敷地は広大なので、入場後は車で移動する。 早朝のせいか、あるいは風で巻き上げられた砂のせいか、視界はやや霞んでいる。靄の向こうにピラミッドのシルエットが現れ、空にはパラグライダーが飛んでいるのが見えた。

三大ピラミッド

ギザの三大ピラミッドの一つ、クフ王のピラミッド。3つのピラミッドの中で一番大きく、世界最大の石造建築。大きいことは分かっていたが、実物を目の前に見るとやっぱり大きい。

すぐ隣にあるのがカフラー王のピラミッド。今は化粧板の多くは失われてしまっているが、頂上付近に少し残っている。かつては全面が化粧板に覆われていたわけで、4500年前に設計、石材加工、測量、建築の技術があったのは信じられないくらいすごいこと。3つ目のメンカウラー王のピラミッドは陰に隠れて見えない。

クフ王のピラミッドの周りと歩いて回る。

太陽の船が埋められていた穴。2か所あるうちの一つ。

クフ王のピラミッドは有料で中に入ることができる。通路が狭くて階段が急だというので入らなかった。

スフィンクスと河岸神殿

スフィンクスの方へ歩いて移動する。

スフィンクスの隣にあるのが、河岸神殿。正確にカットされた石材が隙間なく精密に積み上げられていて数千年前にこのような技術があったことに驚かされる。

この河岸神殿でミイラを作ったと言われている。

土産物売り場を過ぎた先にあるピラミッドとらくだのパノラマポイントからの景色。

観光用のラクダ。見るだけ。

古都メンフィス

次に向かったのはメンフィス博物館。メンフィスは古代エジプトの首都だった街だが、ナイル川の氾濫で建物などはほとんど失われている。車で向かう途中のガイド曰く、「見るべきものは2つだけ。」

一つ目が、「ラムセス2世の巨大石像」。 ラムセス2世は紀元前13世紀に66年間も統治したファラオで、エジプト各地に彼の遺跡が残っている。この後も何度も彼の顔を見ることになるだろう。 石像は全長約15m。かつては神殿の前に立っていた2体のうちの片割れ(もう一体は大エジプト博物館にある)。

もう一つの見るべきものが、アラバスターで作られたスフィンクス。アラバスター(雪花石膏)というと乳白色で光を通す柔らかい石を想像するが、このスフィンクスは風化もせず数千年の間良好な状態を保っている。古代エジプトのアラバスターは別の成分(炭酸カルシウム)は石灰岩の一種でいわゆるアラバスターよりも固い。それに加えて、長期間地中に忘れ去られていたことで風化を免れたようだ。

博物館には他の展示物もあるが、いずれも下った時代の物で考古学的価値は先の二つに敵わない。

死者の街サッカラ : 階段ピラミッドとマスタバ墳

次の目的地はカイロ郊外のサッカラにある「ジェセル王の階段ピラミッド」。クフ王のピラミッドよりも100年前に造られた世界最古の石造建築と言われている。最初からこの形だったのではなく、平たい長方形の墓だったのを、上につぎ足す工事を繰り返した結果今の形になった、ピラミッドの試作品のようなもの。

近づいてみると、クフ王のピラミッドと比べて積み上げている石が小さい。大きな石を切り出して運搬して、積み上げる技術が無かったのかもしれないが、4,700年前に造られたものとしては立派過ぎる。

ピラミッドの隣にある「葬祭殿の列柱室」も見事。柱の縦の線はパピルスを模した4,700年前のものとは思えないモダンなデザイン。

メンフィスが生者の街なのに対して、サッカラは死者の街。王の墓であるピラミッドの他に、「マスタバ墳」という墓地に行く。

内部には当時の生活を描いた彩色壁画が鮮やかに残っている。

エジプト料理のランチ

空港へ向かう途中で遅めのランチ。 小皿で並ぶのは、エジプト滞在中毎回のように出てきた定番のメゼ(前菜)。ごまペースト、ナスのペースト、そしてナスの煮物。右奥は「ファラフェル(エジプトではターメイヤ)」。中が鮮やかな緑色なのは、ひよこ豆ではなくソラマメを使い、ハーブを練り込んでいるためらしい。左奥はご飯。一部の米を先に油で炒めてから炊き込んでいるため、焦がした米粒が混じって香ばしい。米自体は日本米に似た短粒種だが、食感はパラっとしている。左手前は、ブドウの葉で味付けご飯を巻いた「マハシ」。ギリシャの「ドルマ」に似ている。見た目は桜餅の葉っぱ巻きのようだが、味はトマトとハーブ、そしてレモンの酸味が効いていて酸っぱい。酒のアテによさそうだが、残念ながらビールはない。

これも毎回出てくるエジプトのパン、「アエーシ」。 街なかのパン屋で大量に積まれて売られているのをよく見る。片面にまぶされている粉は、粗挽きの小麦粉かと思ったが、ふすま(小麦の皮)で、これが香ばしさを加えている。 前菜のペーストなどを付けて食べるが、中は空洞になっているので、好きな物を中に詰め込んでサンドイッチにして食べることもできる。

メインはチキンのグリル。 マリネしてから焼いているようで、中まで味が染みていて柔らかい。 添えられた大振りの青唐辛子を齧ってみる。激辛というほどではないが、しっかりと辛かった。

ルクソールへ移動

空港まで送迎してもらい、エジプト航空でルクソールへ。エジプト航空はスターアライアンス加盟の航空会社なので、ANAのSFCステータスでカイロ空港のラウンジを利用できた。搭乗すると国内線なのにミラノからカイロへ来た時のエジプト航空の機材よりも新しい。カイロ~ルクソール、アスワンはドル箱路線なので新鋭機を投入しているのかもしれない。

ルクソールに到着。

ルクソール空港には送迎の車が待機していてホテルへ直行。自分でタクシーを探したり交渉しなくてすむのは楽。途中にライトアップされたルクソール神殿の隣を通る。

ナイル河畔で夕食

ホテルにチェックインして夕食に出かける。ナイル川東岸沿いのレストランや土産物店が並ぶ通りを散歩。

エジプト料理のレストランに入る。

ファラフェルを注文したら、昼間のものとは違うラグビーボール形のものが出てきた。割ってみると中はやっぱり緑色(ソラマメ)。

メインは「魚のタジン」。 タジンと聞いてモロッコのとんがり帽子の付いた鍋を連想するが、出てきたのは蓋のない陶器のキャセロールに入ったトマト味の煮込み料理。オーブンで焼いているらしく、焦げ目がついて熱々で出てくる。魚は白身のあっさり味で、ナイルの川魚ではないかと思う。おいしい。

ビールが欲しいところだが、いつものご飯。今日は休肝日。

明日はルクソール西岸を観光する予定。

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