今日の映画 – トールキン 旅のはじまり(Tolkien)

Tolkien

映画レビュー

映画「指輪物語」は全作品観たが、原作者トールキンがどういう人だったのかは全く知らなかったので、ある意味興味を持って映画館へ。

映画はトールキンの少年~青年時代と成人してからの第一次世界大戦の戦場の場面とが切り替わって進んでいく。両親を早く無くしたトールキンと弟は面倒見のよい牧師のおかげで養母を見つけてもらって上流家庭の子供向けの全寮制の学校へ入ることができたのはラッキー。そうでなかったら「指輪物語」は書かれなかっただろう。

当時のイギリスの学校の雰囲気が分かるのは興味深い。芸術を志す友達と4人組を作って自由を謳歌するところは微笑ましいが、特権階級の恵まれた環境で育まれた教養であって、庶民の生活とは別世界という感じ。

戦場の場面は、無彩色の風景、ドイツ軍のマスタードガスなどが「指輪物語」の旅の試練の場面を連想させる。ここでは写実性よりも幻想的な映像を優勢した造りで、砲弾でつくられたような大きな穴に兵士の死体が放射状にならんでいるところなど、戦場を象徴的に見せようとしている風。

ここでもトールキンは将校で、病気の発熱をおして親友を探しに行くが、忠実な兵士が世話をしについてくるという階級社会。イギリスの社会体制を描く映画ではないので、どうこういうべきものでもないが、なんかなぁという気もする。

4人の仲良しクラブのメンバーのうち二人は戦死、もうひとりは戻ってきたもののPTSD。トールキンの強運が光る。

トールキン役のニコラス・ホルトはX-MENシリーズでのレギュラー出演が長いが、ここに来て「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」、本作と作家役が続いた。「女王陛下のお気に入り」にも出ていたので、人気上昇中か?

予告編

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