今日の映画 – さらば愛しきアウトロー(The Old Man & the Gun)

The Old Man & the Gun

映画レビュー

俳優としての引退を宣言したロバート・レッドフォードのおそらく最後の主演映画。実在の犯罪者を題材にした最近はやりの「ほぼ実話」映画。レッドフォード演じるフォレスト・タッカーの年齢は映画の中で明らかにされないが、レッドフォードの実年齢が今年82歳なので見たところ70歳代の老人。きちんとした身なりの紳士然として、銀行の窓口や支配人に銀行強盗と名乗り、お金を奪うというスタイルで連続銀行強盗をやってきた人物。ジャケットの内側の拳銃をちらっと見せるが一度も発砲したことがなく、スマートにやってのけるのは年季の為せる技。

共演陣もタッカーを追う刑事役にケイシー・アフレック、恋人役にシシー・スペイセクと実力者を揃え、エンドロールを見るまで分からなかったが、キース・キャラダインも警察関係者で出演している。レッドフォードをスターに押し上げた作品は「明日に向って撃て!」で、共演のポール・ニューマンと二人組の銀行強盗を演じた。俳優としてのキャリアの最後の映画として、銀行強盗の映画を〆としたとも考えられる。

ただ、見ていてレッドフォードの銀行強盗振りは面白いが、ケイシー・アフレックとの見せ場はトイレで出会ったシーンくらい。アフレックは逮捕に関わらないし、逮捕される場面もシシー・スペイセクの馬に勝手に乗っていくとかなんか中途半端な感じを受けた。

レッドフォードは「明日に向って撃て!」以外にも、「スティング」、「大統領の陰謀」など印象に残る映画に出演しているが、振り返ってみると名優といえる俳優ではなかったと思う。映画監督としては、最初の「普通の人々」でいきなりアカデミー監督賞を受賞したのは衝撃的だったが、それ以降の監督作品には記憶に残るものがない。こうしてみると、レッドフォードの最大の功績は、「サンダンス映画祭」を始めたこと。この映画祭に参加したインディ映画から発掘されたタランティーノやジャームッシュなどの監督が優れた作品を世に出すことができたのもレッドフォードのお陰。感謝。

予告編

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