映画レビュー
日本のコミック「銃夢(ガンム)」の実写+SFXでの映画化作品。原作を見たことはないが、制作と脚本がジェームズ・キャメロン、監督がロバート・ロドリゲスというビッグネームが並ぶこと、映画館で観た予告編が良かったので観に行った。
ストーリーに関しては、なんとなく原作からは原案だけを拝借して、キャメロンが自由に作り直したのかと思ったが、映画を観たあとでWikipediaで原作のストーリーを読んだところ、意外なことに、いろいろと拡張されてはいるが、根幹部分はかなり原作に忠実なことが分かってちょっと驚いた。キャメロンはこのコミックの映画化にかなり前から執心だったようで、しかもこのコミックをキャメロンに紹介して映画化を勧めたのはギレルモ・デル・トロだったという。映画に登場するサイボーグは、体は機械で置き換えられて人間離れしているが顔は至って普通の人間の顔。唯一、主人公のアリータだけが不自然に目が大きい。日本のコミックやアニメの登場人物の目がやたら大きいのはアメコミとの違いだが、大きな目をそのまま使ったところに日本のコミックへのリスペクトがあるのだろうか?
SFXの技術が発達した今では、どんな映像でも作れてしまうが、この映画ではアバターと同様にモーションキャプチャーが使われている。そのため、アンドロイドの動きに全く不自然さはない。さすがに人間ではできないような派手なバトルシーンまでは無理かもしれないが。CGで作っている部分でも、高所から見る町並みの精細さなど手抜きをせずに作ってあるので全編を通じて映像が美しい。実写の方でも、俳優にマハーシャラ・アリ、クリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリーと一流どころを配して抜かりはない。
SF物だが、理解できないような仮想のテクノロジーを次々と出すようなことをせず、コミックの予備知識がなくても話についていける。映像もダイナミックで難しいことを考えずに楽しめる。日本のコミックはサブカルチャーとして一定の地位を築いていて、アニメでも宮崎駿など世界的に評価されているが、この規模の実写とSFXを合わせた映画となるとハリウッドの独壇場になってしまうのに一抹のさみしさを感じる。近々公開される怪獣が総出演するやつも・・・。
予告編
2019年に観た映画
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