映画レビュー
主な登場人物は、小説「フランケンシュタイン」の作者メアリー・シェリー、その夫で詩人のパーシー・シェリー、バイロン卿も少し関係する。実在したこの3人が生きていた当時の知名度は、バイロン卿がダントツで、パーシーも異端ながらも知られた詩人、メアリーは小説家を志望していたが実績ゼロで無名。現在の日本では、バイロン卿の名前は聞いたことがあっても、その作品が読まれているようではないし、パーシーは全く無名。一方、原作を読んだことはなくても「フランケンシュタイン」の名前は一般名詞並に認知されているのが面白い。もっともその作者の名前どころか女性であったことさえ知らなかったが。
この映画では、メアリーがパーシーと出会って恋に落ち駆け落ちするのは良いが、このパーシーは裕福な親の支援で放蕩していて、前妻との間に子供まで居たりする典型的な失敗パターン。パーシーが親から勘当されて生活に困ったり、急な夜逃げのために子供を死なせてしまったり苦難が続くのを見ていると早くダメ旦那を見限って実家に帰ったほうがよいのにと思ってしまう。
経済的に苦しかったとしても、バイロン卿を頼ってイギリスからスイスへ押しかけていくくらいは出来ているので、一般庶民からみると十分お金を持っていたのではないかと思う。それでも彼らにとってみれは苦労の多い生活で、その間の悲しみや絶望がフランケンシュタインの小説を完成させる原動力になるという筋書き。メアリーを演じるエル・ファニングは子役で成功してきたが、順調にキャリアを積んで大人の役も無難にこなしている。
19世紀のイギリスという感じがよく出ているのは良かった。ただ、物語は淡々と進んで盛り上がりに欠ける感じ。映画の雰囲気からジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を連想してしまったが、パーシー役のダグラス・ブースは「高慢と偏見」のパロディ版「高慢と偏見とゾンビ」で主人公ダーシーの友人ビングリー役を演っていたのは偶然。
予告編
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