今日の映画 – 女は二度決断する(Aus dem Nichts)

Aus dem Nichts

映画レビュー

テロ、ネオナチ、移民といった時事ネタ盛り沢山なドイツ映画。トルコ移民の夫と息子をテロで失った主人公カティヤ(ダイアン・クルーガー)の物語。映画なので出演者は多いが、カメラがカティヤについて回るような撮り方なので、ダイアン・クルーガーは全シーンに出ずっぱり。ドイツ人なのにドイツ語のドイツ映画には初出演ということもあってか大熱演でカンヌ映画際の女優賞を獲得した。

予告編の冒頭のビデオ(プロモーションにクルーガーが来日した際のインタビュー)では美人女優然としているが、映画の中では鋭い顔つきで髪の毛もバサバサ、かなり役作りしていた風。映画の出来栄えの8割くらいはクルーガー依存で、クルーガーの頑張りでヒット作になったのではないかと思う。

残りの2割は、正義が行われないもどかしさ。被告の弁護人の観ていていらいらさせられるような法廷戦術と、それが功を奏してしまう裁判制度の限界を見せつける。カティヤが浴槽で手首を切るシーンや、家族で遊びに行った時のビデオで海に父親と入っている息子がカティヤを呼ぶシーンが最後の結末を連想させる。ホームビデオではメカに強いお母さんというシーンも後々の伏線になっている。

監督は「ソウル・キッチン」、「消えた声が、その名を呼ぶ」のファティ・アキンで脚本も手がけている。彼自身がドイツ生まれで両親がトルコ移民というところで繋がっている。

邦題は「女は二度決断する」とあり、2度目の決断はアレかなと思うが、1度目の決断が何なのか観終わっても良く分からない。原題の「Aus dem Nichts」は英語だと「from nothing」、アメリカ公開での英語タイトルは「In the Fade」。

本題ではないが、被告2人が事件が起こった日に犯行現場のドイツから遠く離れたギリシャに居たというニセアリバイを検察が崩せないのはどうかなと思う。たしかにシェンゲン協定でEU域内では国境検査無しで移動できてパスポートに記録は残らないが、移動手段を調べたら嘘はすぐバレると思うねんけど。

予告編

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