映画レビュー
第二次世界大戦のさなか、ドイツ軍がいきなりノルウェーへ侵攻してきた後の数日間のドラマ。ノルウェーは立憲君主制なので国王が政治や外交に直接関与することはないが、侵略する側のドイツの公使は本国の指令で国王相手に降伏の交渉をしようとするし、ドイツの軍部は国王を捕らえて力づくで国ごと押さえつけようとする中で、微妙な決断を迫られる。
結果は映画のタイトルの通りだが、王族一家の北への逃避行、腰抜けの内閣、弱そうなのにドイツと戦うノルウェーの兵士たち、国王と息子の微妙な考えの違いなどのエピソードを散らしながら、手際よくかつリアリティのある映画になっている。
国王、ホーコン7世役のイェスパー・クリステンセンの存在感が際立つが、ドイツ公使役のカール・マルコビクスがけっこう良かった。この映画でのドイツ公使の役どころは、ドイツ外交の窓口としてノルウェーに降伏文書にサインさせる役。ところが、ノルウェーの交渉相手はのらりくらりで、ドイツの軍部は協力しないどころか脅かすし、ノルウェーに対して同情的でも総督から活をいれられると盲目的にしたがい、そうしているうちに奥さんにも逃げられかけるという気の毒な役。そして、マルコビクスの見た目がそういう役にピッタリ嵌っている。ちなみにこの人は降伏交渉をまとめることができずに左遷されているらしい。
北欧のもっとも民主主義の概念が国民に浸透している国で、わざわざ他の国(デンマーク)から王さんを呼び寄せて立憲君主制度にするその気持ちがイマイチよくわからないが・・・
予告編
2018年に観た映画
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