日本民藝館へ行くのは1年半ぶり。
今回の特別展は「愛される民藝のかたち」。現館長の深澤直人が、日本民藝館の収集品に見られる偏りの概念について、解説文の中で「あえて誤解を避けられないことを承知で称するとすれば『かわいい』ではないかと思うのです。」と語っている。
たしかに生活の中で使われているものには、「Fine Art」にはない温もりみたいなものがあると思うし、「かわいい」(「カワイイ」ではない)というのも概念的に違和感はない。
そういう目で展示物を見ていけば、例えば、三頭身の人形なんか「かわいい」かもしれない。
この漆塗りの革袋なんか工芸品としての美しさだけでなく、愛らしい形をしている。
手づくりの焼き物の多少いびつな形が大量生産品にない「ええ感じ」を持っているのを「かわいい」と言っても良いとしよう。
しかし、このイギリス製の陶器の絵は、嫌いではないけど、ちょっと完成度が低いのんちゃうという気もする。
日本の作品でも、この絣の絵柄の虎らしき動物。尻尾の曲線を綺麗に出している技術の高さと、下絵のざっくばらんさとの奇妙な不一致は「かわいい」を越えてるのではないだろうか?
極めつけはニューメキシコの教会で使われていた祈祷箱に描かれた聖人像。否定的な意味でなく、この像に向かってお祈りしていたところを見てみたい。これを作った人も、使っていた人もすごいと思うけど、収集品として持っている日本民藝館も大したもの。
というわけで、今回の特別展は大いに楽しめた。それに加えて、益子焼の濱田庄司の作品がかなりまとまって展示されていたのも良かった。
日本民藝館(東京都目黒区駒場4-3-33)