映画レビュー
ラッセル・クロウとライアン・ゴズリングによるドタバタコメディ。「ラ・ラ・ランド」がアカデミー賞で注目されたのでライアン・ゴズリングの旧作を急遽引っ張り出してきたのかと思ったが、制作年度は「ラ・ラ・ランド」と同じ2016年。
舞台は1977年のロサンゼルス。豪腕の示談屋ヒーリー(ラッセル・クロウ)と優男の私立探偵マーチ(ライアン・ゴズリング)が組んで金づるの依頼人の仕事をしていくうちに、どんどん事件に巻き込まれているというような話。ただ、この映画はストーリーで見せる映画ではないし、正直あまりどうでもよい。悪者は最初から悪者然としているし、マシンガン撃ちまくる相手に拳銃で撃ち合っても弾は主人公には当たらない。そういう約束事を映画を作る側も、見る側も共に理解した上で楽しめるかどうかが大事。ストーリうんぬんというくらいなら見ないほうがまし。
ライアン・ゴズリングは「ラ・ラ・ランド」を見た直後なので、はっきり言ってイメージぶち壊し。メキシコ人風の変な髭生やしているし、トイレのシーンなんか「ラ・ラ・ランド」を見たみんなに見てもらいたい。これは悪い意味ではなく、意外とひょうきんな役をこなしてしまうコメディのセンスがあるという褒め言葉。
ラッセル・クロウはアカデミー主演男優賞を受賞した「グラディエーター」のイメージが強いが、「ビューティフル・マインド」の数学者みたいな知的な役もできる俳優。ただ、この10年くらいは特に目立った仕事もしていなかった印象。それが今になってドタバタコメディに出演して、なかなかハマっているのが面白い。
ストーリーは重要でないと言ったが、脚本も主人公の2人を闇雲に暴れさせるのではなく、適度な「抜き」があってそれがまた可笑しい。例えば、意を決して敵地に乗り込んだものの、ヤバそうと思ったら戦いもせずにさっさとエレベーターで下りてくるところなど。
そういうスタッフの良さもあるが、やっぱり主演の2人の出来の良さ、そして見る前の2人のイメージとのギャップがこの映画の持ち味かと思う。もし、無名の俳優で同じ映画を撮ったらたぶんB級映画の山に埋もれてしまっていたのではないだろうか。
アメリカではポスターも主演の2人だけをフィーチャーしているが、日本ではゴズリングの娘役のアンガーリー・ライスを加えた3人で売り出そうとしている様子。たしかに、賢そうで歳の割には達者な感じがするが、まだ無名の子役。今年に予定されている「スパイダーマン ホームカミング」への出演が決まっているということを宣伝材料にしようとしたのではという気もする。あとは、キム・ベイシンガーがチョイ役で出ていたが特に見るべきものなし。
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2017年に観た映画
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