映画レビュー
今度の週末が2017年アカデミー賞の発表日。その前に日本で観れるノミネート作品は少ないが、その1本がラ・ラ・ランド。
この映画はミュージカルであるが、ブロードウェイなどの舞台で演じられたものの映画化ではなく、映画のためにオリジナルで作られたものらしい。オープニングはハイウェイに自動車が渋滞で行列になっているところで、車のドライバーたちが「Another Day of Sun」を歌って踊りだすシーン。舞台と違って映画では場所の制約がないので、こういうオープンな場所を使ったり自由度が高い。主人公の2人はこの渋滞の中に居るが出番はまだで、歌って踊る大勢の出演者は名もないエキストラのような人たちと思うが歌も踊りもレベルが高い。さすがはエンタテインメント業界の層が厚いアメリカ。
主演のエマ・ストーンは、この映画でゴールデングローブの主演女優賞を既に獲得すみで、アカデミー主演女優賞最有力と言われている。目が大きすぎてアンバランス、美人とは言えない顔つきだが、個性的でたしかに人を引きつけるところがある。ウッディ・アレンの「マジック・イン・ムーンライト」、「教授のおかしな妄想殺人」と2作連続で主演として使われたのもキャリアにプラスになっている。ウッディ・アレンは70歳くらいになってるが女優を選ぶ目は確か。エマ・ストーンに使ってみたい何かを見つけたのかもしれない。
エマ・ストーンは歌も吹き替えなし、しかも予め録音しておくのではなく、演技と同時に歌っているらしい。凄くうまいという感じでもないが、2014年から2015年に掛けて短期間ではあるがブロードウェイでミュージカル「キャバレー」に主演として出ていたというので相当達者なのは確か。同じく、ダンスも特訓を受けてタップダンスまで挑戦しているが、可もなく不可もなくというところか? ポスターなどにも使われているライアン・ゴズリングと夜の公園で踊るシーンでは、ハイヒールからタップ・シューズに履き替えているが、ジンジャー・ロジャーズはハイヒールで踊ってたもんね。
主演のもう一人、ライアン・ゴズリングは賞には縁遠いが安定感あり。この映画のために3ヶ月間ピアノの猛特訓をしてピアノを弾くシーンは全部自分でやっているのは大したもの。エマ・ストーンと並ぶと普通に受ける二枚目に見える。
ミュージカルなので音楽シーンは多いが、ソウルシンガーのジョン・レジェンドがゴズリングの友人役で出演してパフォーマンスを見せている。監督は「パッション」のデミアン・チャゼル。この監督繋がりなのか、J・K・シモンズがチョイ役で出演している。
ミュージカル映画を観ていていつもしっくり来ないのは、今まで普通に喋っていた人たちが、突然歌って踊りだすという不自然なところ。まあ、元々が舞台のミュージカルを映画に持ってきたものと承知しているのでその不自然さが問題とは思っていないが、この映画のように舞台がなくていきなり映画というのは「何で?」という気持ちもなくはない。そのあたりは、ある程度気遣いされていて、オープニングの高速道路のシーンを除けば、公園とか自宅の中とか比較的不自然で無いようなところで踊る。面接で歌う時には画面を暗く落として、歌っているのは現実ではないと分からせるような演出になっている。
ストーリーは典型的なボーイ・ミーツ・ガール物で、普通は結末の心配をせずに観ていられるような流れだが、最後の捻りはちょっとやり過ぎかなと思った。
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2017年に観た映画
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