今日の映画 – トランボ　ハリウッドに最も嫌われた男（Trumbo）

映画の脚本家ダルトン・トランボの伝記映画。リアルタイムで観た映画は、晩年の「ジョニーは戦場へ行った」、「ダラスの熱い日」、「パピヨン」くらい。

なので、それ以前の作品はリバイバルを映画館で観たもので、「ローマの休日」、「スパルタカス」、「栄光への脱出」、「いそしぎ」など。しかし、当時はこれらの映画の脚本家というよりも「ジョニーは戦場へ行った」の原作者で監督としか思っていなかった。

その後、ハリウッドの赤狩りで逮捕されたり職を追われていたことを知ったが、その詳しい経緯はこの映画を観るまで知らなかった。もっとも、今年公開のコーエン兄弟監督のコメディ「ヘイル、シーザー！」で、主人公のジョージ・クルーニーを誘拐する一団がハリウッド・テンと呼ばれる実際にハリウッドから追放された10人のパロディで、そのリーダーがトランボらしい風体をしていたが・・・。

実話に基いているので、ハリウッドの実在の人も実名で出てくる。俳優の中で体制側に付いた有名どころではジョン・ウェインが登場するが、体制側とはいえトランボの処分に手加減してもよいようなニュアンスを最後に見せて、かつての大俳優にちょっと配慮したのかもしれない。

ヘレン・ミレン演じる元女優のゴシップ・コラムニスト、へっだー・ホッパーは最後までトランボを排斥しようとする。ヘレン・ミレンは最近では「黄金のアデーレ 名画の帰還」でしっかり者の老婦人役で好感度高かったが、一転して憎まれ役を憎たらしいくらい好演している。

一番いいとこ取りしたのがカーク・ダグラスで、主演する「スパルタカス」の脚本を追放されていたトランボに依頼するだけでなく、クレジットに名前を入れることで押し通し、周囲からの圧力にも屈しないで筋を通す役。同じ時期の撮影された映画「栄光への脱出」の監督オットー・プレミンジャーとトランボを取り合いするところも面白い。

が、俳優では、やはり主演トランボ役のブライアン・クランストンの演技が光る。テレビドラマでは「ブレイキング・バッド」のウォルター・ホワイト役でエミー賞を獲得して50歳を過ぎて第一人者になったが、映画では脇役専門でこの映画は初主演。受賞は逃したが、アカデミー主演男優賞にノミネートされる快挙となった。

トランボの妻役はダイアン・レイン。コンスタントに出演していたらしいがスクリーンで観るのは「ストリート・オブ・ファイヤー」以来30年振りくらい、懐かしい。

Trailer

2016年に観た映画